別居後に女性と同居していた夫は、妻から有責配偶者の主張を受けていたが、離婚裁判の中で不貞行為がないことを前提とする和解離婚が成立したケース
紛争の内容
相談者は、夫(男性)でした。
夫婦生活は20年以上であり、成人した子どもたちのいる家庭でしたが、色々な不満が募り、別居を開始してから4年程度が経過しておりました。
この間、住宅ローン(債務者:夫)付きの住宅には、妻子が住み続けておりました。
夫は、しばらく転々としたのち、女性とともに同居していた状況でした。

妻とは、話し合いで離婚することまで合意を得たと思っておりましたが、一転、妻から不倫を疑われ、離婚を拒絶されたことから、弁護士に相談し、離婚調停から依頼をすることになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
離婚調停では、妻側が離婚しないの一点張りでした。
こちらも説得するため、財産を開示するなどし、解決金を提示しましたが、なしのつぶてでした。

そこで、あまり時間をかけても仕方がない(婚姻費用が発生し続ける)ため、訴訟に切り替え、離婚を求めました。
妻側からは、やはり不倫をしている有責配偶者であるという主張がなされました。
しかし、お互いが離婚原因について主張・反論を繰り返しつつ、夫側としては、そもそも不貞がない(証拠もない)ことを繰り返し主張し、並行して財産開示を進めるよう裁判官の訴訟指揮を受け、双方が財産を出し合う方向になりました。

もっとも、自宅もありますし、財産分与として大きなお金を支払う状況にはなかったため、平行線になり、尋問、そして判決もやむなしかと思いましたが、不倫の証拠がなかったことや女性と同居しはじめたのが別居後相当期間の経過後であったことから、妻側も離婚する方向で和解の話合いに持ち込むことができました。

本事例の結末
結果としては、数か月の猶予を与えつつ、自宅から妻子が出て行くこととなり(自宅を取り戻すことができる)、その代わりに一定の解決金を支払うことを内容とする離婚が成立しました。

本事例に学ぶこと
離婚手続は、交渉→調停→裁判という流れを辿ります。

裁判では「負け」のリスクもあることから、慎重でいて、しかし大胆に、検討を進める必要があります。
負けを恐れていては先に進めません。
しかし、リスクを適切に評価し、判決に至る間に「和解」をするのがもっとも合理的な選択という場合が多くあります。

私は、離婚事件を多数解決に導いてきた自負があります。
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ところで、昨今、「共同親権」の法案が衆議院で可決し、参議院の審議を進める状況であり、近い将来、共同親権の制度が導入される可能性が高まりつつあります。未だに確定していませんが、今後、弊所でも積極的に研究して参りますので、よろしくお願いいたします。

弁護士 時田 剛志