確たる離婚事由がないにもかかわらず、離婚調停で早期の離婚が実現した事件
紛争の内容
ご依頼者様は、妻の実家に婿入りしましたが、妻の実家には、妻の両親や親戚数人が住んでいました。
その中でご依頼者様は、妻の親族らとは別異の取り扱い(食事が別であったり、買い物に一緒に行かないなど)を受けてきたため、離婚を決意されました。
その後、ご依頼者様は離婚に向けて別居を開始したものの、確たる離婚事由がなかったため、早期の離婚が実現するかが問題となりました。

ご依頼者様からは、離婚交渉からご依頼をいただきまして、交渉の中で離婚条件を調整していたところ、最終的に財産分与の点で折り合いがつかず、交渉から半年が経過していたため、こちらから【離婚調停】を申立てることとしました。

交渉・調停・訴訟等の経過
調停の経緯としては、離婚条件が主な争点となりました。すなわち、養育費の支払条件をどうするか、及び、財産分与として不動産が主な問題となりました。特に、不動産の名義が夫婦の共有であり、また、住宅ローンの支払いが残っていましたので、住宅ローンのお支払い方法をどうするかが問題でした。
妻側は、自宅の名義を自分に渡すことと、住宅ローンの支払いの準備期間として、離婚後3年間は住宅ローンの支払いを夫に求めることを頑なに主張しておりました。

本事例の結末
不動産について、名義を妻に譲渡することとなり、その代わり、住宅ローンの支払名義人を妻に変更することや、離婚後3年間は、養育費の支払いに代えて、住宅ローンを支払うことで合意が成立しました。これにより、ご依頼者様としては、住宅ローンの支払いと養育費の支払いを二重に負担することなく、早期に離婚を実現することができました。

結局、財産分与や養育費の支払いについて、私共が妥当な離婚条件を提案したことにより、調停委員を巻き込んで早期の調停成立とすることができました。

本事例に学ぶこと
財産分与として、不動産の名義を相手方に譲渡することもあり得ますが、住宅ローンが残っていた場合の処理については、様々な方法があり得ます。住宅ローンの支払い方法として、どのような条件により合意できるかは、弁護士の腕の見せ所です。
本件では、離婚後3年間は、養育費の支払いに代えて住宅ローンを支払うとすることで、妻側も納得する離婚条件を提示することが出来ました。離婚条件については、相手方を納得させるものでなければ、離婚自体も頓挫してしまうおそれもあるので、細心の注意を払って条件を提示いたしました。

結局、条件面で双方の合意ができたのが、第3回調停期日の最後の方だったので、調停成立は第4回期日に持ち越される可能性もありました。しかし、時間を置いてしまうと、相手の考えが変わってしまうおそれもありましたので、早期に調停成立の手続きを進めてもらうように調停委員に進言したところ、所定の時間を超えて、調停成立の手続きに協力してもらうことができました。

離婚調停においては、当事者だけで話合いを行う場合もありますが、弁護士が入ることによって、裁判所においても柔軟な対応をすることが可能となります。最善の解決を図るため、ぜひ離婚問題に強い弁護士にご依頼ください。

弁護士 時田 剛志
弁護士 渡邉 千晃