男の離婚の場合、お子様の親権監護権(離婚の前に別居している際のお子様を育てる権利)について、以下のようなお悩みを抱えていることが多いです。
親権・監護権関する男の悩み

このようなお悩みを解決する方法はございますし、当事務所は多くのご相談と事件のご依頼をお受けしております。
そして、男性の育児参加が進んでいる現代において、女性側が必ず親権・監護権を取得できるという訳ではなく、裁判所も近年は、男性の親権及び監護権の獲得を認めております。
そして、親権・監護権を決定するにあたりどのような事情が考慮されているのかについてご案内をさせて頂きたいと思いますので、以下の記事をお読み頂けますと幸いです。

親権及び監護権の問題についてのポイント

親権及び監護権の問題について、裁判所は以下のような事情を考慮して、裁判で解決を行っています。

(1)主たる監護者

お子さんの養育を主に担当してきた親御さんのことを、「主たる監護者」と呼びます。
通常、お子さんは主たる監護者と強い愛着があり、別居後や離婚後も主たる監護者とお子さんが一緒に暮らすことがお子さんの幸せに沿うものと判断されることが多いです。
また、お子さんの年齢が低いほど、「主たる監護者」とお子さんの関係が重視されます。

現在は、男性と女性が共働きの家庭が増え、働き方も多様化しているほか、女性が働いていない場合であっても精神的な問題などにより育児が困難となっていることも少なくなく、男性が積極的に育児に参加している家庭や、男性と女性の親族が監護の多くを担っている家庭も多いため、主たる監護者が女性であるとは限りません

(2)監護の継続性

監護の環境すなわちお子さんの生活基盤の変化は、お子さんに不安や混乱を招きかねず、できるだけ避けるべきという考えから、監護の継続性が、親権者及び監護者を判断する場合の1つの考慮要素になります
主たる監護者が親権者又は監護者を判断する時点でお子さんを養育している場合、その監護を継続すべきとの結論につながりやすいです。
また、男性と女性の間の紛争が生じる前からお子さんが居住し、慣れ親しんでいる環境にお子さんがいる場合は、その現状を尊重すべきという考えもあります。
さらに、お子さんが元々慣れ親しんでいた環境から男性及び女性の一方が別居した際に共に出て、別居後の新たな環境に順応しているという場合も、そこからさらにお子さんを移動させるのは酷であると考慮されることもあります。

(3)監護体制・監護環境

男性と女性が親権者又は監護者に指定された場合に、どのように一人で監護をしていくのかについて、以下のような客観的な要素が考慮されます。

ア 親御さんの就労状況
勤務・自営の別、職種、就労時間、通勤時間、残業の程度、休日、出張の有無、転勤・転職の予定等を考慮します。お子さんの監護と業務が両立可能か、どの程度お子さんの関わることが出来るのかを見ていきます。
イ 親御さんの経済的状況
家計収支の状況、保有財産等から、お子さんの監護が可能な状態であるのかが確認されます。
ウ 住環境・教育環境
住居の間取り、面積、最寄り駅やお子さんの通う保育園・幼稚園・学校等との距離、公園・児童館・図書館・病院等の周辺環境等が考慮されます。
エ 監護補助者
親御さんよりもお子さんが先に帰宅している時間帯に一緒にいられる人、親御さんの仕事中にお子さんが急な発熱などをした際に対応できる人などがいるかどうかが確認されます。さらに、そうした監護補助者の年齢、職業、心身の状況等から、監護補助者の育児能力も検討されます。監護補助者としては親族をあげることが多いですが、親御さんと信頼関係がありお子さんも親しんでいる第三者を監護補助者として説明することもあります。もっとも、監護補助者に監護の多くを依存しているような場合には、その監護体制に疑問が投げかけられることもあります。
   

(4)監護能力・適格性

親御さんの監護能力も考慮されます。親御さん自身の生活歴や心身の健康、これまでの育児における関与の度合いや問題の有無のほか、お子さんの性格・特性、持病がある場合はその症状等を理解し対応しているかどうか、またお子さんとの結びつきが強いものであるかというようなことが親権者としての適格性として検討されます。
親御さんの心身の健康やこれまでの育児での問題に関して不利な要素があるときは、その原因や対策も併せて考慮されます。婚姻後に、夫婦の関係が悪化したことにより心身の健康や育児に問題が発生しているときは、別居・離婚により問題が解消する可能性も想定しておく必要があります。また、問題があることを理解し、改善の手段を講じているのかについても考慮されます。

(5)監護開始の違法性

現状の監護が、例えば連れ去り等によって違法に開始された場合、その後の監護実績を重視すべきではないという判断がなされることがあります。
例えば、仙台高等裁判所秋田支部平成17年6月2日決定では、連れ去りをした人が監護をする場合に得られる利益の方が、連れ去りをされた人が監護をする場合に得られる利益よりも、ある程度優位に認められるのでない限りは、連れ去りをされた人が監護すべきであると裁判所が判断しています。
次に、東京高等裁判所平成20年12月18日決定では、連れ去りをした人が連れ去り後速やかに子の引渡しを求める裁判を申し立てた場合には、連れ去りをされた人が子供を育てるとお子さんの健康が損なわれたり、必要な監護が実施されない等、お子さんが不幸になってしまうような特段の事情が無い限り、連れ去りをされた人へのお子さんの引渡しを認めるという判断がなされています。
また、違法な行為を行うことや、それが子に与える影響を顧みていないことは、親権者の適格性に疑問を抱かせる事情となり得ます。例えば、東京高等裁判所平成29年2月21日決定において、連れ去りをした人の監護者としての適格性を否定する判断がなされています。
なお、連れ去りとは、主に、既に別居している状況で、お子さんの監護をしていない人が監護をしている人から子を奪取することを意味します。もっとも、別居開始時にお子さんを連れて出ていく行為も、主たる監護者の了承を得ず、理由なくお子さんを連れて別居したような場合は、主たる監護者の監護権を侵害したものとして違法と判断される場合があります。

(6)子の意思

10歳以上のお子さんになると、親権者及び監護者をどちらにしたいかというお子さんの意思が一定程度尊重されます。15歳以上のお子さんについては、お子さんの意見聴取が法律上必要とされています。また、これらの年齢より低いお子さんについても、男性及び女性の話題が出たときの態度・表情・しぐさ、男性女性との交流場面での様子などから、お子さんの男性及び女性に対する感情が推定されて、親権者・監護者の判断において考慮されています。

(7)きょうだい不分離

きょうだいがいる事案では、一般的には、きょうだい間の絆を損なわないよう、きょうだいを分離しないことが子の幸せに沿うとされています。もっとも、きょうだい全員を引き取るというのが難しい場合がありますので、その場合はきょうだいを分離することもあり得ます。

(8)面会交流への許容性

お子さんと別居した親との交流を確保し、お子さんが両親から愛されていることや事故のアイデンティティを確認できるようにすることは大切ですから、親権者を判断するに当たり、面会交流への許容性・積極性が考慮されます。ただし、虐待・DV事案等では、面会交流をすることがお子さんの幸せに沿わない場合もあるため、その場合は慎重な検討を行うことになります。

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当事務所の考え

男性の育児参加が進んでいる現代において、男性側が親権監護権を取得できる可能性はあると考えています。男性の育児への参加の程度、現在お子さんと生活しているか、お子さんを連れて家を出るときに穏当でない手段を取っていないか、お子さんの世話を手伝ってくれる人がいるか、女性のお子さんに対する態度はどうであったか等によっては、その可能性は高まると考えています。そのため、男性であるからと言って、親権・監護権をあきらめる必要は無いと考えています。

共同監護について

別居後、監護それぞれが監護を分担し合うという状況が続いている場合は、別居後も共同で監護するという状態が認められるケースもあるようです。このようなケースでは、いずれかに監護者を指定するということが難しい場合があり得ます。

解決事例

子を連れて別居した妻から,子の取戻しを成功させた事案

母が長男を連れて別居を開始してしまいました。そこで,当事務所の弁護士が,直ちに事件を受任し,数日内に,子の引渡し及び監護者指定の審判・保全を申し立てました。
申立手においては、妻やその家庭環境には大きな問題があること,そのような環境で監護を受けることが子の福祉に悪影響を及ぼすことなどを主張・立証し,早急に長男を父に引き渡すよう求めました。
1回目の期日において,担当裁判官が申立書の内容を吟味しておりましたので,その場で,母に対し,長男を父に引き渡すよう事実上の勧告がなされました。その結果,審判(裁判でいうところの判決)を待たずに,父は子を取り戻すことができました。

男性側で調停において親権者適格が父にあるとする調査報告書を獲得したケース

子の親権者として、同居していた父が適格であることが確認された。その調査では、子に対する聴き取り調査も行われ、子は父と生活することを望んだということも確認されました。

監護者指定と引渡しを求め、子の調査が実施され子の安全が確認できた事案

 母親が子どもを連れて家を出て行ってしまい、子どもの監護状況が全く分からなかったため、父親が子どもの引渡しと監護者の指定を求めた事件です。調停を申立て、別居後の子どもの監護状況の詳しい説明を求め、相手方はこれに応じました。その結果、面会交流の条件を充実させることを条件に、3回程度の調停で調停成立しました。
 子の引渡し及び子の監護者の指定は認められませんでしたが、相手方からは詳しい監護状況の説明を受けることができたため、毎月2回の宿泊付きの面会交流、子どもの情報提供を約束してもらうなど、充実した面会交流の調停条項を設ける内容で、調停が成立しました。

男性が裁判で子供を育てることを認めてもらえたケース

子供を連れて妻と別居した男性から依頼を受けました。男性は、妻が家庭裁判所に子の引渡しと監護者(育てる人)の指定を求める裁判の申立てを行ったため、子供を妻の元に返さなければならなくなることをお悩みでした。事情をお伺いすると、妻は、病気のため、同居中、子の育児をうまくこなせなかった時期があり、また、会社での勤務の実績が乏しいという事情がありました。別居から4か月程度しか経過していない事件でしたが、男性の方が育児をうまくこなせていたという事情がありましたので、このまま子の監護者であり続けることが出来る可能性がありましたので、依頼を受けました。
家庭裁判所の調査官による調査の結果、男性が子供の育児をうまくできている事、妻が育児をうまくこなせなかったことや勤務実績が乏しいことを理由に、男性を監護者として指定することが相当である、という意見書を提出しました。その結果、妻が、裁判の申立てを取下げ、男性が子供の監護を続けることになりました。

子の監護者の指定申立事件(相手方側を受任)

自宅から妻が子供を残して出て行ったケースで、夫が子の監護者指定調停事件を申し立てられたというケースで、夫側から依頼を受けました。
妻は生後まもない子どもを残して体調不良のために入院し、そのまま実家に帰り、その後1年程度、夫とその両親が子を監護しました。夫は風呂入れやご飯を食べさせるなどの育児はしていました。施行面接では、夫の方が子供との交流をうまく行なうことができました。このような事情をふまえて、夫側家族からの子の分離は難しいという調査官意見が出されました。その結果、子の引き渡し・監護者指定調停は妻側が取り下げました。

離婚訴訟にて、子どもの親権を父親側が取得した事例

父が長男と同居するという事例で、妻が離婚訴訟で長男の親権をしたケースがあり、当事務所は夫側の訴訟代理人を務めました。
妻には精神疾患があり、長男に対して暴言を吐くなどの言動がありました。
また、長男の発達障害に理解を示さず、下の妹(長女)ばかりを可愛がるようになりました。
そして、現在長男が夫のもとで問題なく生活していること、夫は妻とは異なり、長男の発達障害を理解して医師の指導に従っていること、従前妻が長男に暴言を浴びせるなどしていたことなどを積極的に主張し、その結果、裁判官から離婚の上長男の親権者を夫と指定してはどうかとの提案がなされ、長男の親権者を夫とする訴訟上の和解をしました。

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