長期3年の離婚裁判を覚悟していたところ、急転直下、婚姻費用審判を利用し、離婚を取りまとめた事案

事案の内容
ご相談者は、妻と別居してから5年程度が経過しておりました。
妻との間には子はおらず、別居の経緯は、開業しているご相談者を傍目に、家事等をほとんどしない妻に愛想をつかし、ご相談者が出て行きました。
妻も、夫に対し、帰ってくるように言うでもなく、時間ばかりが経過していました。
では、妻は離婚に応じるのではないかと思いきや、双方の収入格差が激しく、高給取りの夫に対し、婚姻費用分担請求調停をしてくる始末で、離婚をするつもりはない、というスタンスを示しておりました。
そこで、ご主人の離婚事件の弁護を引き受けることになりました。

事案の経過
妻側からは、婚姻費用分担請求調停が起こされていたため、即座に離婚調停を起こし、同じ調停期日に審理を進めることができるようにしました。
調停では、妻側は、離婚しないと述べつつ、慰謝料を求めてきました。しかし、慰謝料が発生する原因となるような事実の主張はなされず、徒に時間を稼いでいる、つまり、離婚が成立するまでは婚姻費用を貰い続けることができるので、引き延ばしをしている疑いもあり、早々に調停は切り上げ、離婚訴訟で決着をつける方針をとりました。
一方、婚姻費用については、お互いの主張が平行線となり、審判手続に移行することとなりました。

本事例の結末
離婚については、不成立ののち、すぐに裁判を提訴しました。
本件では、別居期間が長かったこともあり、このような戦法を選択することができました。
一方、裁判の審理が進む最中、婚姻費用分担請求調停については、審判が出されました。
審判の内容は、お互いの主張を一部取り入れる形の内容であり、不服はありました。
しかし、抗告した場合には、原審で認められた主張が棄却されるリスクもあり、また、時間をかけて争うことには変わらない実情にありましたので、審判が確定しない間、3年分程度(訴訟を徹底的に争えばこのくらいの期間がかかります)の婚姻費用を支払う計算で、早期の離婚を提案したところ、少々金額面での交渉を経て、和解により離婚を成立させることができました。離婚成立は、離婚訴訟を提起してからわずか2ヶ月程度でした。

本事例に学ぶこと
離婚の争いは、然るべきタイミングで、適切な和解案を提示することが肝心です。
100%勝とうとすれば、和解は成立せず、時間も内容も不利な内容になることもあります。
そのため、離婚事件の経験豊富な弁護士によるアドバイスが何より重要です。
タイミングを逃せば、2~3年という長期戦になっていたかもしれず、その間も離婚できずに争わなければならなかったからです。
グリーンリーフ法律事務所は、離婚専門チームを立ち上げ、さらに、男性離婚に精通した弁護士がおります。
男の離婚でお悩みの方は、お気軽にご相談くださいませ。

弁護士 時田剛志