配偶者の離婚の意向が変わらなかったため、交渉で財産分与の条件を定め、比較的早期に協議離婚が成立したケース

紛争の内容
配偶者から突然離婚を切り出された、離婚の意向はないが配偶者の意向が変わらなければやむを得ず離婚は受け入れるが、財産分与等の離婚条件については適正に決めてほしいとご相談でした。

まずは配偶者の意向を確認しつつ、離婚方向になった場合には条件交渉を行うという内容で代理人として受任しました。

交渉・調停・訴訟などの経過
配偶者には代理人がついていたため、代理人を介して離婚は望まない旨を記載した手紙を渡してもらうことにしました。しばらく後に代理人から、手紙をもらったが配偶者の離婚の意向は変わらないとの回答があったため、配偶者との復縁は諦め離婚条件の検討を行うことにしました。

離婚条件の中で争いがあったのは財産分与における特有財産の扱いでした。

婚姻時は分かってくれていたものと考えていた特有財産についても否定されるということがあったため、資料を示し丁寧に特有財産性を説明していきました。

本事例の結末
結果として、こちらが特有財産として主張していた部分についてはおおよそ認める形で財産分与の条件が折り合い、それを前提に、配偶者に対して分与額を支払うという内容の離婚協議書が作成されました。

離婚届出等のその後の手続も済んだ段階で事件終了となり、受任から半年程度での解決となりました。

本事例に学ぶこと
財産分与の中で大きな争いとなるのが特有財産の扱いです。

婚姻期間中は相手方も口頭で特有財産性を認めていた部分についても、事後的にそのようなことは聞いていないと態度を変えてくることもありますので、特有財産性を示す証拠(当時の通帳、贈与者とのやり取り、売買契約書、領収証等)については、念のため、保管しておくことをお勧めいたします。

弁護士 吉田竜二