面会交流を拒否されていたケース

紛争の内容
会社員のAさんは、妻Bとの間に小学生低学年の娘Cがいました。
妻BはAさんの両親と折合いが悪く、そのせいでAさんとBとの夫婦仲も次第に悪くなっていきました。

ある日、BはCを連れて実家に帰ってしまい、Aさんに離婚を求めるようになりました。
AさんもBとの復縁は難しく、離婚はやむなしと思っていましたが、心配なのは娘Cのことでした。
娘Cは、生まれつき体が弱く、通院を要するため、業務多忙なAさんにはCを引き取って自ら育てるということは出来ませんでした。
したがって、親権者をBとしてよいかについては悩んだものの、離婚をするならばやむを得ないと思っていました。

ところが、BはAさんに対して「娘Cとは絶対に面会交流させない」と強硬に主張しました。

そこで、AさんはBとの離婚について、弁護士に交渉を依頼することにしたのです。

交渉・調停・訴訟等の経過
Aさんの代理人となってから、Bに対して離婚の条件を確認したところ、当初Bは

・養育費の支払い

・慰謝料の支払い

・Bが婚姻中にAさんに貸していたという金銭の一括返済

・面会交流は拒否する

という回答をしていました。

BとAさんの主張は平行線であったので、調停手続をすることも視野に入れてその旨もBに伝えながら交渉を進めました。

その上で、
養育費だけではなく、離婚成立までAさんが婚姻費用を責任もって支払うこと、
慰謝料については本件においてAさんに支払義務が生じるような事情はないこと、
Bが貸していたという金銭についても借用書もなくAさんとしては借りたという認識もなく金銭の授受も存在しないこと、
面会交流は子のためにするものであること
を説明し、BのAさんに対する敵対的な意識を和らげる努力をしました。

本事例の結末
結果として、AさんがBの求めのとおり離婚に応じ、誠実に離婚までの婚姻費用と離婚後の養育費については金銭の支払いに応じること、借金についてはその存在についてBから主張しないこと、面会交流も3か月に1回程度実施すること、を約束してもらい、それを合意書にまとめ、紛争を終了させました。

本事例に学ぶこと
Aさんとしては、当初Bとの対立が激しかったため、面会交流を諦めていましたが、弁護士が介入したことにより、Bの主張に全て応じる必要はないこと、娘Cにとっても面会交流をした方が経済的にも精神的にも父が子を助けられること、Bにもそのことを理解してもらうことができました。

離婚は通常夫婦間の関係が悪化した状態で問題となるので、相互の認識の齟齬を埋めることは困難です。

しかし、裁判所での運用や法的な観点からの課題を知ってもらい、誠実な配偶者の態度、それが離婚後も続けられるという信頼を築くことで、相手方の態度が軟化することはありえるので、そのようなことを目指し合意するというのが望ましいと感じました。

弁護士 相川 一ゑ