離婚に付随する重大な問題を解決させることができた事例

紛争の内容
依頼者の妻は、家を出て夫とは別の男性と生活をしていました。依頼者夫婦は、離婚すること自体には争いはないものの、依頼者方に残っていると強く主張する妻の所有物をどうするのか、平行線を辿っていました。
そこで、離婚とともに、夫婦間に存する法律関係を抜本的に解決する必要がありました。

交渉・調停・訴訟などの経過
依頼者の妻は、依頼者方に置いてある物品のほとんどを自分の所有物であると強く主張し、これを全て持ち出す意向を示していました。しかし、これらの物品は、依頼者のものであったり、夫婦共有財産であったりして、依頼者の妻の主張は法律論として認められないものでした。
そのようなことを無視して、物理的に強硬手段に出るおそれが強くありました。ひとまずは弁護士が入り、無断で他人の家に立ち入ることは住居侵入の罪にあたることを強く説明し、強硬手段に出ることを防ぐことができました。しかし、それでもその場の解決にはなったものの、いつまた所有権を主張してくるか分からないという根本的解決には至りませんでした。
そこで、支払能力に重大な疑義がある妻からの慰謝料請求を諦め、依頼者方に妻のものがあるとの主張を今後させないようにするという、実利を取る方針を採ることにしました。

本事例の結末
最終的に、妻と合意書を取り付け、依頼者方に妻の所有物がないことの確認・依頼者方に仮に存在する妻の物の所有権放棄をさせ、離婚をするに至りました。

本事例に学ぶこと
離婚事案といっても、親権・養育費・慰謝料・財産分与といった一般的な離婚に伴う重要な点が問題になる事件だけではなく、全く別の論点が事実上の離婚の障壁になることがあります。
本件では、事実上争いになっている問題を、法律問題に引き直して抜本的解決をすることができました。

弁護士 平栗丈嗣