【男性の離婚】「絶対離婚しない」と頑なだった妻と1年以内にスピード離婚。子の環境に配慮しつつ、将来の自宅明け渡しも勝ち取った事例

紛争の内容(ご相談前の状況)

「妻が、何を話しても『絶対に離婚しない』の一点張りで、話し合いになりません」

当事務所にご相談に来られた依頼者(夫)は、妻との関係が修復不可能なレベルまで冷え切っており、離婚を強く決意していました。しかし、妻は離婚を頑として拒否。当事者同士での話し合いは完全に暗礁に乗り上げていました。

依頼者様には、お子様が二人おり、自宅はご自身の名義で住宅ローンも残っていました。依頼者様にとっての最優先事項は、財産分与などで長期化させることよりも、「とにかく早く離婚を成立させ、法的な関係を解消したい」ということでした。

交渉・調停・訴訟等の経過(当事務所の対応)

ご依頼を受けた弁護士は、まず「絶対離婚しない」という妻側の感情的な抵抗を解きほぐし、法的な話し合いのテーブルに着かせることから始めました。弁護士は代理人として、妻側の弁護士と離婚調停の場で交渉を重ねました。

妻側が離婚を拒否する最大の理由は、離婚後の生活、特に「住環境」と「お子様の環境」に対する強い不安でした。

そこで弁護士は、依頼者様の「早期離婚」という最大の利益を実現するため、妻側の不安を払拭する現実的な条件を提示しました。

住居の無償提供: お子様が大学を卒業する時期まで、現在の自宅に無償で住み続けることを認める 。

生活安定:養育費に加え、学習塾代や習い事の費用も夫が負担する。

解決金: 離婚に伴う解決金を支払う 。
その代わり、依頼者様の将来の財産権を明確にするため、以下の点を強く求め、合意させました。

将来の明け渡し:一定期間が経過したら、必ず自宅を明け渡す。

本事例の結末(結果)

弁護士による現実的かつ戦略的な交渉の結果、当初は「絶対離婚しない」と強硬だった妻も、子の環境が守られる条件に納得。家庭裁判所における調停が成立しました。

ご依頼から1年以内という、依頼者様の希望通りのスピード離婚が実現 。

依頼者様は、一定期間の住居提供という負担は負うものの、将来的に自宅の所有権がご自身に戻ることを法的に確定させ 、何よりも法的な婚姻関係の解消という最大の目的を達成することができました。

本事例に学ぶこと(弁護士からのアドバイス)

「絶対離婚しない」という相手にも、交渉の道はある。
相手が感情的に離婚を拒否している場合、その最大の原因は「離婚後の生活への不安」であることがほとんどです。本件のように、相手の不安(特に「住まい」や「子の環境」)に配慮した現実的な条件を弁護士が提示することで、相手も冷静になり、交渉のテーブルに着くことが可能になります。

「譲る部分」と「守る部分」のメリハリが重要
依頼者様の最優先事項が「早期離婚」であったため、今回はお子様が成人するまでの居住権という大きな譲歩をしました 。しかし、その交換条件として、将来の「明け渡しの確約」という、ご自身の財産権を守る重要な条件を勝ち取りました。何を優先し、何を守るのか、弁護士と戦略を練ることが早期解決の鍵となります。

弁護士 時田 剛志