
紛争の内容
依頼者である夫は妻と20年以上も別居していました。
諸事情があり、ようやく離婚に向けて動いていきたいというご要望を受けるに至りました。
交渉・調停・訴訟等の経過
交渉、調停と進んでいきましたが、妻・妻側弁護士の多額の財産分与を求める強硬な姿勢により解決することができませんでした。
そこで、離婚訴訟を提起するに至りました。離婚訴訟での論点は多岐に渡りましたが、財産分与に直接的に影響があった点のみ紹介します。
依頼者は不動産を保有しており、夫の20年前の預貯金や保険契約の解約返戻金に関する資料は存在していました。
他方、妻側はとても些細な資料は証拠として提出してくる割には、肝心の預貯金の通帳などは持っていないと言い張り、財産分与の基準日たる別居時の財産はないと、非常に不合理かつ不当な主張を繰り返していました。
また、不動産の評価について大きな対立があり、妻側の主張によれば依頼者である夫は数百万円を支払うことになってしまいました。
尋問手続では、妻の不合理な主張を多数引き出すことができました。
本事例の結末
裁判所は不動産評価について概ねこちらの主張を採用しました。そして、妻だけが財産関連資料を持っていないとして財産分与を行うことは不当なものと捉え、財産分与を行う必要はないと結論付けました。
本事例に学ぶこと
本件は時間をかけて一つ一つの論点を証拠に基づき細かく主張していきました。
その中で、妻側だけが主張ばかりで証拠が提出されていないことを顕出することができました。
また、反対尋問では妻を否定・攻撃などせず、ただ淡々と不合理なことを言っているということだけ明らかにしました。そのような地道な努力が奏功して、不当な要求を退けることができました。
弁護士 平栗 丈嗣