弁護士 相川 一ゑ(埼玉弁護士会所属)

婚姻費用や養育費は、「生活保持義務」として、父母の収入から公租公課などを控除し、父母双方や子の最低生活費などを考慮した上で、父母双方の分担能力をもとに、支払義務のある者の負担すべき金額を算定するのが原則です。

仮に、婚姻費用・養育費の支払いを受ける側の配偶者(「権利者」といいます。)が、生活保護などをもらっているとしたら、婚姻費用や養育費を支払う側(「義務者」といいます。)の負担すべき額には影響があるのでしょうか。

まず、生活保護は、生活に困窮する人に、最低限の生活を保障する制度ですから、権利者が生活保護を受けている場合、婚姻費用・養育費を受け取ったのであれば、その分「生活保護費」が減らされることになります。義務者側の「婚姻費用・養育費の支払額」が減るわけではありません。

これに対して、傷病手当金といった金員を権利者が受け取っている場合は、それは上記の生活保護とはことなり、「収入」の代わりとして受給するものなのですから、婚姻費用や養育費を算定するにあたって、権利者の収入として考慮されるべきものです。

同様に、出産手当金や育児休業給付金なども、傷病手当金と同じように考えることができます

ただし、生活保護や傷病手当金といった金員は、所得とはみなされず課税はされませんので、収入として見る場合には、給与などのように職業費や公租公課の負担を考慮する必要はありません。

以上のとおり、婚姻費用・養育費の権利者・義務者の立場でそれぞれ生活保護などの公的給付を受けている場合には、給与などの純粋な収入とは異なる考慮が必要ですのでご注意ください。

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