離婚前に相手方が財産を開示してくれないけど、どうすればよい?

離婚前に相手方が財産を開示してくれないけど、どうすればよい?

ご相談を受けていると、よくいただく質問が、
離婚条件を考えたいが、相手方がどのくらい財産を持っているのか分からない
相手方の財産を調べたいが、相手方が見せてくれないとき、どうしたらよいですか
という内容です。

結論から申しますと、完全に漏れがない形で財産を調査することは不可能です。
日本では、財産開示を求める手続としては、一部、民事執行手続としての財産開示制度(民事執行法197条以下)や第三者からの情報取得手続(民事執行法204条以下)はありますが、いずれも、離婚する前の財産分与等の請求権が未確定の状況ですと、利用することができません。

では、相手方の財産が分からない場合には、泣き寝入りしなければならないでしょうか?

いいえ。
完全に漏れがない形とはいきませんが、できる限りの調査を進めることは可能です。

例えば、①調査嘱託、文書送付嘱託、②求釈明(相手方に釈明を求めること)、③弁護士会照会などの方法があります。

 

①調査嘱託、文書送付嘱託については、裁判所を通じて、照会先に質問することができます。

例えば、相手方が●銀行▲支店に有する普通預金口座(口座番号■■)の取引履歴を取り寄せる場合、相手方が退職予定の会社に対し、退職金試算額を取り寄せる場合など、裁判所を通じて公式に回答を求める制度であるため、回答精度が高い手続です。

ただし、裁判所が調査等の必要性を認めないと発せられないし、闇雲に照会を掛けてくれることはありませんので、絞り込みが必要です。

②求釈明(相手方に釈明を求めること)については、通常、準備書面等で求めるものであり、裁判所も見ている手続において、相手方に回答を求めることができます。

財産開示を求められた場合、ある/ない等と回答する必要がありますし、弁護士が虚偽の回答をすることは通常ありませんので、裁判手続ではよく用いられる手法です。

しかし、相手方が相手方代理人に秘匿していたりすると、弁護士としてもかかる内容を前提に回答せざるを得ませんので、やはり財産を網羅できるかと問われると、疑問が残る場合もあるでしょう。

③弁護士会照会は、単に弁護士が照会をかけるのではなく、それぞれの弁護士が所属する弁護士会を通じて、第三者に質問をすることのできる制度です。

 

もっとも、上記①とは異なり、例えば銀行は個人情報を盾に開示を断る場合も多く(債務名義といって判決等がある場合は別)、必ずしも情報収集の実効性が高いとは言えません。

以上、ざっとご説明しましたが、ご夫婦間では、おおよそどのような財産があるのか当たりを付けられる場合が少なくありません。

例えば、配偶者宛の郵便物の中に、●●証券の封筒があった、▲▲銀行の通知を見たことがある等、もしくは開示を受けた通帳の履歴の中に「■■保険」の引き落としがある等、何らかの手掛かりがあるケースも少なくありません。

そのような手掛かりを弁護士は拾い上げ、上記のような手続を駆使して、出来る限り財産全体が確認できるように手続を進めて参ります。

おそらく、個人で進められる場合、少なくとも弁護士による手続と比較すると、漏れが生じる可能性が高いと考えられます。

相手方が財産を開示してくれず、お困りの方は、まずは離婚専門チームの弁護士までご相談ください。

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