不貞を疑い、離婚を拒絶していた熟年夫婦の妻と調停離婚を進め、離婚が成立した事案

紛争の内容
子ども達の成人を機に、妻と離婚をするために別居を開始した夫から依頼を受けました。
依頼を受ける前に、一定期間、夫から妻に離婚の条件を話し合い、それでも妻側は離婚を拒否しているという状態でした。
別居期間は比較的短く、また、妻側からは過去の不貞を強く疑われているという状態でした。

今後の作戦としては、まずは話合いを進めるために離婚調停を申し立ててみること、その上で調停に対応しない場合も考えられるから、その点はできる限り調停の場に座っていただくために進めること(裁判所からの出頭勧告、弁護士からの条件提示等)を決めました。なお、裁判を起こすには時期尚早であったため、裁判になったときにはそれ以上の時間がかかることも覚悟していただきました。

交渉・調停・訴訟等の経過
まずは、弁護士からの通知を送るとともに、家庭裁判所に調停を申し立て、調停を開始しました。
調停は、最初の三回は相手が出頭しませんでした。

しかし、粘り強く、代理人弁護士から連絡をしたり、裁判所の書記官から電話や書面で連絡をしたりして、最後は、調停に出頭してもらうことができました。
もっとも、話し合いはスムーズにいかず、出頭してからは条件面の話合いになりましたが、なかなか相場より大きい条件を提示して譲りませんでした。

そこで、こちらとしては、そのような条件をあくまで求めるのであれば、今提示している好条件(こちらも、離婚裁判や判決になった場合よりも相手に有利な条件を提示しておりました)については撤回し、時間をかけてでも正当な条件で争うということを伝えるなどしました。

実は、夫名義の不動産(住宅ローンがあるもののアンダーローン)に妻側が居住しており、夫側としては、不動産を譲る代わりに住宅ローン残を引き継ぐように主張するなどしておりました。

その後、相手は代理人弁護士を立てました。
相手方代理人弁護士からは、①住宅ローンの完済をした上で、不動産名義を相手方に移すこと、②子の大学院までの学費の支払、③財産分与、④不貞行為等の慰謝料として600万円近く支払うこと、⑤(成人している子の)養育費一括払いなどの支払が求められておりました。

その後、交渉を進め、不動産の分与だけでも相当の利益があること、訴訟提起(またはあえて離婚せずに過ごすこと)も辞さないこと、法的根拠の乏しい支払は応じるつもりがないことなどを反論し、和解交渉を進めました。

本事例の結末
結論としては、調停離婚することができました。

離婚の条件としては不動産は分与する代わりに、相手方が住宅ローン残を引き継ぐ(支払をする)こと、財産分与等を含めた解決金として400万円を支払うことを認めました。

本事例に学ぶこと
・離婚をしたいけれども、相手が応じてくれない
・相手が離婚することを明確に拒絶している
・不倫の過去があり(またはその疑いがあり)離婚できるのか不安がある
このような男性の方の相談は少なくありません。

しかし、諦めないでください。
夫婦関係が破綻してしまったのであれば、その原因はどうあれ、お互いに心の底では修復、円満、やり直すことは難しいということは分かっている、もしくは理解するまでに時間を要しているということが多いです。
離婚を拒んでいる相手との離婚を進めるためには、時間をかけること、安心感のある条件面を提示することが必須です。
時間を掛けられないなら条件面をとてもよいものにするか、条件面を守るなら時間をかけるかのいずれかです。

具体的には、まずは離婚相談にお越しいただき、弁護士の見解をお聞きください。
弁護士の意見を聞き、やってみたいと思う場合には、ご依頼を相談いただけたらと思います。
お待ちしております。

弁護士 時田 剛志