紛争の内容
ご依頼者は、妻がASDの疑いがあるとのことで、長年に渡り、妻の対人関係で精神を擦り減らしている日々だったとのことでした。
その中で、ついに妻との関係性を続けることができなくなり、妻と離婚について話し合いをしたところ、全く話合いにならなかったとのことでした。
また、妻は夫の不貞行為を疑っており、不貞の慰謝料を請求することに意固地になっていました。
そこで、話し合いは今後難しいと思われたことから、今般、離婚の調停事件としてご依頼をいただくこととなりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
調停の中では、まずこちらから、妻によるモラハラの事実を主張しました。具体的には、生活費の使い方や妻のASDによる対人関係の不和を主張いたしました。然るに、離婚に至った原因は、専ら妻側にあると主張していきました。
それに対し、妻は、夫からASDだと決めつけられたことで精神的苦痛を負ったといったことや、夫に不貞行為があったことなどを主張し、離婚の原因が夫側にあると主張しました。
これに対しては、不貞行為の事実などないこと、及び、妻をASDだと決めつけたことはなく、これまで可能な限り、妻に寄り添うような対応をしていたが、それに限界が来てしまったという旨を反論いたしました。
本事例の結末
最終的に、妻側が離婚に合意したこと、及び、離婚の慰謝料を請求しないことといった条件で合意に至ったため、調停の中で離婚を成立させることができました。
結果、調停を申立ててから半年も経たず、離婚を成立することができました。
本事例に学ぶこと
配偶者にASDの症状がある場合、他方配偶者は、その影響でカサンドラ症候群と言われる症状を発症してしまうということもあります。
配偶者との関係性でお悩みがある場合には、無理に我慢して夫婦関係を続けるのではなく、一度、離婚について弁護士にご相談されてみることをお勧めいたします。
弁護士 渡邉 千晃



