紛争の内容
ご依頼者の方は、ある日配偶者が子を連れて家を出て行ってしまい、配偶者の代理人弁護士から離婚にあたっての条件を記載した書面を受け取ったことからご相談にいらっしゃいました。
離婚をするかどうかという点や、するとしても財産分与をどうするか、子の親権をどうするか、離婚後の養育費をどうするか、子との面会交流をどうするか、現在の別居中の婚姻費用をどうするかという点など、多くの不安についてご相談いただきました。
相手方が弁護士を介入させていることや、解決すべき点が多かったことからご依頼いただきました。
交渉・調停・訴訟等の経過
まず離婚をするかどうかということ自体を決める必要がありましたが、今までの夫婦関係や今後の事を考えて離婚について応じることになりました。
そこで今後の条件面などについて協議が行われましたが、協議が整わず、離婚調停に進むことになりました。
まず、双方が親権を主張したため、家庭裁判所調査官による調査が行われました。
また、財産分与については、相手方配偶者が、家の価値よりも住宅ローンの残高の多い、いわゆるオーバーローン物件について価値をゼロと扱い、その代わりに、他の財産の金額から住宅ローンの金額を差し引くこと許さなかったために争いになりました。当方は、裁判例を根拠に差し引くことを主張しました。
一方、面会交流についても取決めを行うことがありましたが、相手方からは面会交流についての条件が必ずしも明確にされなかったため、こちらから面会交流調停を申し立てることとなりました。相手方は当初面会交流を拒否したことがありましたが、当方から抗議した後は、面会に応じていくようになりました。
また、婚姻費用についても調停となりましたが、婚姻費用や離婚後の養育費については、裁判所が公表している算定表という表に従って計算する方向で協議しました。
本事例の結末
親権は専業主婦である相手方配偶者が主たる監護者であることが認められて、親権者に指定することになりましたが、面会交流については月に1回行うことを認め、お子様の年齢が現在2歳であることを考え、今後年齢が大きくなるにつれて面会の時間を増やすことを念頭に、面会の条件について再協議することを約束しました。
財産分与については、当方の主張が認められ、相手方主張額の約230万円から約70万円の減額が認められ、約160万円を支払うことになりました。婚姻費用や養育費は、算定表に従って計算した金額を支払うことになりました。
本事例に学ぶこと
離婚にあたる条件や婚姻費用、養育費、さらには面会交流についてと多岐にわたる取決めを行いましたが、このように離婚については多くの事を取り決めなければならないことがあります。
こうした場合、それぞれの問題についてしっかりと主張立証を行い、納得できる解決を図ることがなにより大切です。
ご本人同士では、法的な側面からの検討が十分に行われないこともありますし、折り合いがつかないということもあり得ます。
そうした際には、弁護士にご依頼いただき法的な側面からの主張立証を行い、場合によっては調停など裁判所での解決を図ることで、問題を解決できることもあり得ます。
弁護士 村本 拓哉
弁護士 遠藤 吏恭