高額過ぎる養育費を、離婚後の事情も踏まえて大きく減額することができた事例

紛争の内容
依頼者は以前弁護士を就けないで裁判所で調停離婚をしていました。ところが、養育費の金額について、相手の言いなりになってしまって高額となっており、また、依頼者が再婚して子どもができたことで、従前の養育費のまま進めていくことで生活が困窮するに至りました。そこで養育費の減額をできないか弊所にご相談にいらっしゃいました。

交渉・調停・訴訟等の経過
養育費の減額にあたっては、双方の収入が少し変動した程度では裁判所に認めてもらえません。そうしないと、いつまでも養育費についての争いが解決せず、子どもも含めて常に紛争に巻き込まれるおそれが生じるからです。
もっとも、どちらかの収入が大幅に増減した場合や、親権者が再婚して新たな配偶者と子どもが養子縁組をした場合や、親権者でない義務者が再婚して子どもができた場合、従前のままの養育費とすることは不公平となります。そこで、養育費の減額調停を申し立てることとしました。
もっとも上述のとおり、法的安定性の観点から、養育費を決めた時点で予見できた事情については、特段の新たな事情が出てこないことには養育費を変動させないという裁判所のスタンスが見られます。そこで本件については、弁護士が就いていない調停で一方的に不利な調停条項となってしまったこと、相手の収入を考慮しておらず実際に現在は大幅に収入が上昇していること、依頼者が再婚して子どもが産まれていること、について、客観的資料に基づき、精緻に丁寧に主張していきました。

本事例の結末
最終的に、1円単位で詳細に細かく主張していったことが奏功し、第1回調停で本来あるべき養育費を再計算し、さらに子どもが増えたことでの調整を加えた養育費の再計算をし、大幅に養育費の減額をすることができました。

本事例に学ぶこと
養育費は子どものための権利であるため、むやみに減額するべきではありません。ただし、事情によっては、当事者の公平や、新たな子どもの福祉の観点から、きちんとした主張をするべきときがあります。本件は、丁寧に事実を客観的資料をもとに積み上げていったことで問題解決をさせることができました。

弁護士 平栗 丈嗣