収入の激変によって養育費の減額が認められたケース

紛争の内容
10年前に離婚をした小売業を営むAさんは、元妻Bとの間にCという子が一人おり、親権者を元妻Bとしておりました。
離婚時に定めた養育費は毎月支払っておりましたが、コロナ禍により売り上げが激減し、雇っていた社員にも辞めてもらったり、自分の役員報酬も、従前の半分にまで減らさざるを得ない状況となってしましました。
そこで、元妻Bには、養育費の減額を請求しましたが、応じてもらえず、やむを得ず養育費減額の調停を申し立てることにしました。

交渉・調停・訴訟等の経過
調停の中では、Aさんが営む小売業の業績や、社員に辞めてもらったこと、各種の経費節減について資料を提出しましたが、それでも元妻Bは納得せず、結局調停不成立となりました。
調停不成立後の審判においては、裁判所はこの小売業の業績が激減したことの真偽や、それがやむを得ない事情として「事情変更」を認めるかという点が争点となりました。

本事例の結末
結局、小売業の業績がここ数か月の問題ではなく、コロナ禍開始後数年にわたり確定的に生じている悪化であることを裁判所は認定し、Aさんの収入については、激減した現在の収入及び現在の元妻Bの収入を基に養育費を算定してもらいました。
結果として、AさんはこれまでCの養育費として支払っていた額の半分程度支払えば足りるということになりました。

本事例に学ぶこと
Aさんとしても、子Cのためにできる限りのことをしてあげたいと思っていましたが、養育費は支払える額に設定しなければA自身の生活を維持することもできません。また父母の公平を維持するという観点も考慮すれば、「事情の変更」として認められる収入の増減については、適切にその根拠を示し、減額の請求をすべきと感じました。

弁護士 相川 一ゑ