婚姻費用において子どもの塾代を考慮して公平に分担した事例

紛争の内容
相談者の方は、妻から婚姻費用分担調停の申立てがなされたとして相談にいらっしゃいました。

既に調停が申し立てられていたことから、この対応をするべくご依頼いただきました。

婚姻費用について、きちんと公平な解決を図りたいとのご相談をいただき、様々な事情を考慮して公平に分担すべく手続きを進めていくこととなりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
婚姻費用は、離婚をするまで夫婦の一方がもう一方に対して支払いをすることが義務付けられているものです。

これは、双方の収入によって、算定表と呼ばれる表を用いて機械的に決められることが一般的です。

裁判所で行われる調停でも、基本的には算定表に基づいて機械的な数字が算出され、それで合意をすることができるかということについて話合いを行うこととなります。

ですが、この算定表は、あくまで一般的な事項のみを踏まえて婚姻費用を分担することを定めるものであり、細かな事情については考慮されておりません。

ご夫婦によって事情は様々であり、個別の事情を考慮しなければ、公平な分担をすることはできません。

今回は、ご依頼者の方がお子さんの塾代をすべて負担しているという事情があり、算定表ではこれを考慮しておりませんので、算定表とは別の計算方法で、双方が塾代をどの程度分担すべきかを計算する必要がありました。

また、塾代は学年によっても変わってきますので、こうした事情を踏まえて、負担すべき額を主張しました。

本事例の結末
塾代については、算定表で考慮されている標準教育費の金額がありますので、その金額を塾代の年間の金額から差し引き、残額を双方の年収の割合に応じて分担するという計算をしました。

結論として、年収の割合に応じた額で当方依頼者が塾代を負担し、通常の婚姻費用は算定表で定められる金額で当方依頼者が負担するという合意が成立し、無事に公平な婚姻費用の分担を行うことができました。

塾代は学年によって金額が変わりますので、負担額については学年によって変わるという合意も得ました。

本事例に学ぶこと
婚姻費用については、算定表によって機械的に分担されることが一般的ですが、こうした決め方では、必ずしも公平な解決を図ることはできません。

そのご夫婦によって、様々な事情があることから、こうした事情も踏まえて協議を行う必要があります。

こうした個別の事情を踏まえて公平な分担を行うためには、専門家である弁護士を交えて協議を行うことが適切であると考えられます。

弁護士 村本 拓哉
弁護士 遠藤 吏恭